ヨスクス

かざましゅんすけさんのことをつらつらと。たまに映画。

ペルシャ猫を誰も知らない(ユーロスペース/渋谷)

こんな辺鄙なブログにマイナーな映画の感想ばかり書いてどうするんだよこの野郎というのが最近の悩みです。でも、記録用としてひっそりと感想を残すのに、この場所はとてもここちがよいのです。

西洋文化が規制されているイランで、時には警察に捕まりながらも音楽活動を続けている若者たち(ペルシャ猫)を追った作品。
出演者は実際に映画と同じ境遇にたたされているミュージシャンたちであり、彼らの音楽をPV風に紹介しつつ、ほぼノンフィクションの内容をゲリラ撮影で作り上げている。主演の2人は最終テイク撮影の4時間後に国外に脱出し、監督のバフマン・ゴバディも逮捕の危機を感じたため、今はイランを離れている。そんな緊迫した状況で作られているだけあって内容はけっして軽くはない。でも、彼らが奏でる音楽の自由さといったらなんなのだろう・・・!

ロックもヘヴィメタルもラップもジャズも、アラビアンな旋律がふんわりと耳に入ってきてそれだけでドキドキしてしまうし、とにかくみんなレベルが高い。まあ、映画に出るくらいなんだから一定のレベルは達していて当然なんだろうけど、なんというか、覚悟がね、ぜんぜん違うな、と。国を追われる覚悟、家族を失う覚悟、でも、音楽ってたのしいーー!という開放感がぎゅんぎゅんとトルネードして、胸にズバー!と入ってくるのです(なんという長嶋語)。もちろんゴバディ氏の映像美もあってのことなんだけど、こんなに綺麗な音楽を聞いたのは久しぶりでした。

今はロンドンで音楽活動を続けている主演のおふたり。はやくアイスランドにいって憧れのシガーロスに会えるといいねと願いつつ、偶然にも前日にダウンロードしたシガーロスを聞きながら映画館をあとにしたのでした。


ペルシャ猫を誰も知らない
http://persian-neko.com/