ヨスクス

かざましゅんすけさんのことをつらつらと。たまに映画。

 6/4 朗読劇雑感

カザマさんも、おそらく谷村さんも初めてであろう朗読劇。カザマさんはいつもの安定感を醸し出していたけど、端々に初めての試みに対する緊張感と戸惑いが見え隠れしているようでした。朗読劇としての完成度は決して高くはない(と思う)。でもいい意味で発展途上の、手探りゆえの瑞々しさが残る公演だったと思います。なによりも新しいことに挑戦するカザマさんをリアルタイムで拝むことができる機会なんて滅多にないですからね。これだけでも坂元さんには感謝しきりです。

 公式FBを読むかぎり稽古は1回のみ(たぶん)。私はあとの2組の回を観ていないのでなんとも言えないのですが、坂元さんはとにかく読み込まず、作り込まず、新鮮な言葉だけで紡ぎ上げる空間を作りたかったのかなあと。以前、「ペタルダンス」の石川監督がインタビューで

「脚本は、準備稿と呼ばれるものはみんな読んでいるんです。でも、セリフとして覚えないでください、1回読んだら忘れてください、現場にも持ってこないでください、と言って渡しています。それで、撮影の直前に決定稿というのを書くんですけれど、それは出演者の人には渡していません。どうしても、脚本のセリフにとらわれて、まずセリフを話そうとするんじゃないかなと思うんです。そうなると、それぞれが決まっていることを言うことになる。でも、僕らは普段生活している中で、相手が何を言うか分かっていないわけじゃないですか。何か言われてそれに反応して次の言葉を選んでいる。どちらかというと、そういうことになってほしかった」 

ということをおっしゃっていて、まあ、坂元さんの本業は脚本家だから、矛盾していると言われたらそうなのだけど、石川監督は「演じる」という面で、坂元さんは「言葉を紡ぐ」という手段を使って、根っこのところで同じことを試みているのかなと。

 以下ざっくり感想です。書きたいことがたくさんありすぎて、このままじゃ明日の仕事に支障が出るのでカザマさんのことしか書きません。(続きをパタン)

 マチネ公演、物語の主人公、タマノとアキは中学時代と青年期を通じて沼の底のような暗くて残酷な一面と、他人を思いやれる素直で優しい一面の間をゆるりと揺らぐように見え隠れさせる。残念ながらカザマさんのド金髪で冒頭から脳みそ真っ白になってしまったのと、谷村さんの独特なテンポ(というか緊張?)が掴めず、入り込むまでに結構な時間がかかってしまったのだけど、それでも冒頭のタマノが発する台詞がまんま文哉で、よくみると髪型も(金色だけど)リミッターが外れた7話以降の文哉みたいな形でうわわあとなってしまいました。そして普通と狂気のスイッチの入り方がやっぱり独特だわ。そこは坂元さんの脚本の妙なのだけど、スイッチの入る瞬間のグレイな部分がほんとうにお上手です。カナヅチのくだりなんかはもうゾワゾワしまくりで、お前カナヅチで一生食べていけるよ心の中で呟いていました。

 そしてソワレ公演。これがとても素晴らしかった。とくに後半から2人の息がぴったり合ってきて、笑うところ、悲しいところの緩急もしっかりしていて、観ている私も気づいたら会話の波に乗っかっていた。「不帰の初恋〜」に比べてずうっと大人の雰囲気を漂わせるお話なのに、終盤で呟き合う「好きです。」の初々しさよ。きっとこの「好きです。」は演者によって全然ニュアンスが違ってくるのだろうな。ふたりともこの頃には泣きながら朗読していたけど、このときの笑顔はとてもステキだった。

しかしカザマさん、ほんとうに格好よかったなあ。白みがかった金髪にゆったりとした白いブラウスがとてもお似合いで、知らない俳優さんに恋をしてしまったような、未だかつて味わったことのないドキドキを感じてしまいました(正直今もドキドキしてる)。特に頭上からふりそそぐ照明を浴び、ソファの上で脚を抱えているカザマさんは、一重まぶた界が誇るしぐさイケメンの力技とゴルゴ13のM16ですら跳ね返すヲタフィルターを通して、まるでエイリアン通り8巻表紙のシャールくんのようでした。ええ、完全に目がイカれています。ちなみにソワレでは大きな黒ぶちメガネ(これもツボ)を着けていたのだけど、はずしたメガネをソファの肘掛けに置くたび、床に落ちる落ちる!!とそっちばかり気になって気が気じゃなかったです。でもあのメガネ、はずしたり着けたりする意味あったのだろうか?あれも作戦?うわーあざといわーー、まんまと釣られたわーー。

エイリアン通り 8 (花とゆめCOMICS)首から上は金髪のバカリズムさんが乗っかっていると思って頂けると幸いです。 

 

備忘録もかねてあらすじも。

【不帰(かえらず)の初恋、海老名SA】
男のもとに初恋の女からの手紙がふいに届いた。
東京に向かう高速バスの車中で書かれた手紙だった。
わたしは東京で結婚し、その相手はこのバスの運 転手ですと書いてある。
しかしその手紙が届いた頃、男は既にあるニュースを目にしていた。
東名高速道路高速バスの横転事故。死者8名。運転手は 逃亡中”
生き残った女は婚約者である運転手の行方を捜しはじめた。
男もまた女を救おうとしていた。
二人は再びあの海老名サービスエリアで交錯する。
幾つかの悲しみの川がより深い悲しみの海に流れ込む。

 

カラシニコフ不倫海峡】

平凡な夫婦だった。
ある時妻がアフリカへ地雷除去のボランティアに行くと言い出した。
数ヶ月後、妻は少年兵の持つカラシニコフに撃たれて死んだ。
男が悲劇の夫として注目を浴びた時、見知らぬ女から手紙が届く。
“あなたの妻は生きています。アフリカの地でわたしの夫と暮らしています。わたしたちは捨てられたのです” 
男は真偽を確かめるため、女と待ち合わせる。互いの伴侶が密会を繰り返していた円山町。ホテルの名前は、『カテドラ ル』。
残された男と女が今、雑居ビルの谷間の海に溺れてゆく。

公式HPより